ベトナム・ホーチミン市でたこ焼き屋を開業しました。
ホーチミンで10年の付き合いになる、弟のような存在のベトナム人と試行錯誤し何とかオープン。
コロナ禍のため私は日本国内からオンラインで指示&サポートするのみとなりましたが、約3ヶ月で開業まで辿り着きました。
今回は、たこ焼き屋を選んだ理由、オープンまでの過程などをご紹介します。
創業のきっかけ
たこ焼き屋を一緒にオープンさせたベトナム人はチュンという名前で、私のベトナムでの弟のような存在です。
彼はもともと、ベトナム人富裕層向けの日本旅行ガイドをしていたのですが、コロナの影響で仕事がほとんどなくなってしまいました。
以前、私とチュンとで外国人向けのベトナムVIPツアーサービスを立ち上げてみたいと思っていましたが、こちらも厳しい状況に。
他に何かできないかな、と考えていたところ、たこ焼き屋がいいのではないか?と思いつき、チュンと話してすぐに意気投合。
私が100%出資し、チュンは即行動に移りました。
たこ焼きを選んだ理由
私は以前にこのようなツイートをしました。
ベトナムの日本食の外食産業はまさにこれからですね。
コロナを想定した、テイクアウト&宅配をメインとした
たこ焼き屋さんを近日中にホーチミンでオープンします!https://t.co/Pusm8ONyEY— 塩田 英司(EIJI SHIODA) (@eiji_shioda) March 14, 2021
日本食の外食産業が成長しているのも開業理由の1つなのですが、他にも以下のような理由がたくさんあります。
- 現地向けビジネスである
- ベトナム経済はコロナ禍でも比較的安定し、今後も経済成長が見込まれている
- ホーチミンで屋台のたこ焼き屋さんを見かける機会が増えている
- 粉物は利益率が高い傾向にある
- 南部の暑い地域でも火を通す食べ物である(食中毒確率低い)
- 私が日本人であり、日本の食べ物を海外に広められる
- 経済成長著しいベトナムで私が飲食業をやってみたかった
- 仕組み化できれば他店舗展開できそう
- テイクアウトと宅配を中心としたコロナ対策(イートインは最小限に)
- チュンがたこ焼きビジネスをやりたい
最も大切なのは、実際にゼロから事業を立ち上げるチュンがたこ焼きビジネスをやりたいかどうかという点。
成功する条件が整っていたとしても、当の本人が心の底からたこ焼き屋をやりたいと思わなければ成功はできません。
ブランド名「マイちゃん」について
名前については、現地の人たちに親しみやすいものを採用しました。
「マイ」はベトナム語で黄色い花という意味。
ベトナム南部では旧正月のときだけ咲く花で、ベトナムの人々はその名から可愛らしさをイメージします。
日本でいうところの桜のような存在で、花が咲いてから花びらが落ちるまでの期間が限られています。
ちなみに偶然ですが、「マイ」はチュンの名字でもあります。
苦労した点
実際にオープンさせるにあたり、特に以下の点に苦労しました。
- 材料の選定
- たこ焼きを焼く特訓
- 場所探し
- 店の準備
それぞれを簡単に紹介していきます。
材料の選定
たこ焼きの大部分を占めるのが、小麦粉を使った生地の部分になり、たこ焼きそのものの味に大きくかかわります。
ベトナムには日本産の値段の高い小麦粉と、ベトナム産の安価な小麦粉があります。
チュンがベトナム産の安価な小麦粉を使ってたこ焼きを作ったところ、美味しくないとのことでした。
かといって、日本の高い小麦粉のみで作ると、安くて小腹を満たすことができる本来のたこ焼きを作ることができません。
そこで、複数の種類の小麦粉を混ぜたり、他の材料を加えてみたりもしました。
- だし汁
- 米粉
- タピオカ粉
- コーンスターチ
だし汁はネットの情報を調べて真似して作ってみたり、ベトナムで買える米粉、タピオカ粉、コーンスターチなども少量加えてみたり。
改良に改良を加えることで原価をなるべく抑えながら美味しい生地を作ることに成功しました。
※今後も美味しいたこ焼きを作るために改善を繰り返していきます
たこ焼きを焼く特訓
同じ素材を使っても、作る人によって味や見た目に差が出てしまうのがたこ焼きです。
チュンとチュンの奥さんと2人で、業務用たこ焼き機で3面焼きができるようになるまで100回以上焼いて練習しました。
今の時代はYoutubeがあります。
Youtubeで「たこ焼き 作り方」と検索するとプロの作る動画がたくさんありますので、私が良さそうな動画をピックアップし、動画を見てまんま真似して作るよう指示しました。
場所探し
オープンする場所を探すのが一番苦労したかもしれません。
ベトナムでは大通り沿いで店舗面積が小さく、かつ賃料の安い物件を探すのは容易ではありませんでした。
コロナの影響で撤退した店舗が多く出ているかなと思いきや、ローカルエリアはさほど変わりがありませんでした。
チュンが自分のバイクで7区中を走り回り、1軒1軒空いていないか声をかけていきましたが見つからず。
次に範囲を広げて隣の8区中も探しましたが条件に合う物件が同様に見つかりません。
諦めずにまた7区に戻り探したところ、こちらの希望に合う物件をようやく見つけました。
しかし、その物件のオーナーがそんなに乗り気でなかったため、何度も顔を出して交渉し、何とか契約してもらえることに。
物件探しに1ヶ月かかりました。
店の準備
初期費用をできるだけ抑えるために、チュンが自ら工事に参加してお店を作りました。
彼の得意分野ではありませんが、看板、メニューなども自身で作ったものです。
意外と簡単だった点
3面あるたこ焼き器に関してはベトナムのECモールで簡単に見つかりました。
Made in Chinaですが、100回以上焼いても今のところは特に問題なさそうです。
ベトナムに販売代理店もあり、製品に問題があっても連絡が取れるとのこと。
今の時代はインターネットがありますので機材や道具を探すのは簡単でした。
果たして飲食素人の私とチュンで出来るのか
私は飲食業は素人ですが、素人だからわかることもあると思っています。
お客さんとしてベトナムの日系レストランだけでも数百回以上通った経験があります。
そして、初めてベトナムに来た2010年からこの10年間、お店がオープンして撤退してを山のように見てきました。
その撤退する原因の大半が「家賃」です。
ベトナムは人件費が安価な一方で店舗家賃はそこまで安くありません。
したがって、削れない固定費で潰れるケースが多いように思えました。
※私が見た中で最短で潰れたお店は、1区中心のドンユー通り沿いにあった韓国料理屋さんです。わずか1ヶ月でした。
コロナ禍となってしまいテイクアウトとデリバリーの需要が高まりました。
結果的な話となりますが、たこ焼きのような小スペースで始められるビジネスは店舗家賃(固定費)が安く、今後伸びると思いました。
また商品メニューが多ければ店舗経営ノウハウが必要かと思いますが、私たちが行うのは「たこ焼き」のみとシンプルです。
価格
チュンに1個5,000 VND(24円)以下で提供するよう話していました。
屋台のたこ焼き屋では1個4,000~5,000 VNDほどで販売されており、学生や若い人たちがよく買っています。
現地向けで商売するなら、この屋台と同じ価格帯で提供することが重要と思い(現地の人々みんなが食べられる)、低価格で美味しい味を出せなければ意味がないと思っています。
場所
ベトナム・ホーチミンの7区でオープンしました。
- 住所:1491 Huỳnh Tấn Phát, Phú Mỹ, Quận 7, Thành Phố Hồ Chí Minh
- 電話番号:0903 601 628
- 営業時間:10:00~22:00まで
※営業時間は暫定のため変更になる可能性があります
場所の特徴としては以下の通り。
- フィン タン ファット通り沿い
- フーミーフン(高級住宅街エリア)まで5~10分
- 向かいにコープマート(スーパーマーケット)、その隣に高校あり
郊外ではありますが、1区中心に通じている道路沿いです。
チュンは日本語も堪能です。在ホーチミンの日本人の方も是非ご来店ください。
ローカルな場所でスタートした理由
純粋に私とチュンが7区というエリアが好きだったからです。
また、現在は1区レタントンに住まいを移動しましたが、私がホーチミンで最初に住んでいたのも7区フーミーフンです。
海外で初めて長期的に住んだエリアがフーミーフンだったということもあり、いまだに愛着があります。
店舗デザイン
チュンが現地の格安業者を見つけて依頼し、チュン自身も手伝って作りました。
なお、ロゴやキャラクターデザインもチュンが自ら作りました。
Webマーケティング
こちらはオープンを急いでしまったのでまだ準備中ですが
- Webサイト
- 各種SNS(Facebook,Instagram,Youtube,Tiktok,Zalo)
このあたりは準備が整い次第、オープンさせていきます。
他のベトナム人の知り合いに手伝ってもらい現在制作中です。
宅配
ベトナムには、日本でいうところのUber Eatsのような配達プラットフォームがたくさんあります。
その中で以下の3つに申請登録しました。
- Grab food
- Now
- Baemin
現在審査中です。
たこ焼きは焼き立てを食べないと美味しくありませんので、周辺のみ宅配可能エリアとする予定です。
今後について
たこ焼き屋マイちゃんは、本日2021年3月20日に1店舗目(本店)がオープンしました。
どのような結果になるかはわかりませんが、目標としてはこの1店舗目を皮切りに、さらなる商品開発をしながら店舗経営し、出来るだけ早い段階で2店舗目をオープンさせます。
2030年までにホーチミン+メコンデルタの都市で30店舗経営を目標としています。
ただ、まずは1店舗目で成功させなければその先はなく、7区郊外エリアからスタートし、地元の人たちに好かれるようなたこ焼き屋を運営できるよう目指します。
私自身、コロナの影響でベトナムに渡航できなくなってしまい、遠隔だけでのやり取りでは正直味はわかりません。
しかし、事前にホーチミン在住の日本人数人に食レポしてもらい、合格点をもらえました。
現在コロナ禍で私は遠隔でのサポートしかできませんが、可能な限りチュンおよびチュンの奥さんを支援していきたいと思っております。
日本のたこ焼きがベトナムの多くの人に浸透できたらこの上ない喜びです。